中小企業のためのIT戦略

経営者が知っておくべきクラウドサービスの知識②

中小企業のクラウドサービス活用

前回の投稿記事にて、クラウドサービスの定義や分類についてお話しました。

今回はクラウドサービスがどのようなコンピュータ資源から構成され、その構成によってクラウドサービスがどのような形態で提供されているかについてお話ししたいと思います。

クラウドサービスは大きく分けて、ハードウェア・プラットフォーム・ソフトウェアの3階層から構成されています。

その3階層は以下のようなものになります。

ハードウェア CPU(演算装置)、ストレージ(補助記憶装置)、メインメモリ(主記憶装置)、ネットワークなど所謂”ハコモノ”、機械類
プラットフォーム WindowsなどのOS、データベース、開発環境などのソフトウェアを稼働させるための基盤となる環境
ソフトウェア メール、ファイル共有、チャットなど利用者がすぐに利用できるアプリケーション(プログラム群)

クラウドサービスは上記の3階層から構成されるわけですが、ハードウェアのみを提供するサービスやハードウェアとプラットフォームを提供するサービス、ハードウェアとプラットフォーム、ソフトウェア全てを提供するサービスの3種類が存在します。

私たちが思う浮かべるクラウドサービスというと、利用者がすぐに利用できる3階層すべてが既に用意されているものを想定してしまいますが、実は”ハコモノ”だけが提供され、そこに独自にOSやアプリケーションを搭載するサービスもあるわけです。

この3種類のクラウドサービスは、提供される階層に応じて、以下のように呼ばれています。

  • ハードウェアのみを提供するサービス⇒Iaas(アイアース)
  • ハードウェアとプラットフォームを提供するサービス⇒Paas(パース)
  • ハードウェアとプラットフォーム、ソフトウェア全てを提供するサービス⇒Saas(サース)

前回ご紹介した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」によると以下の定義がされています。

IaaS(Infrastructure as a Service) 利用者に、CPU 機能、ストレージ、ネットワークその他の基礎的な情報システムの構築に係るリソースが提供されるもの。

利用者は、そのリソース上にOSや任意機能(情報セキュリティ機能を含む。)を構築することが可能である。

PaaS(Platform as a Service) IaaS のサービスに加えて、OS、基本的機能、開発環境や運用管理環境等もサービスとして提供されるもの。

利用者は、基本機能等を組み合わせることにより情報システムを構築する。

SaaS(Software as a Service) 利用者に、特定の業務系のアプリケーション、コミュニケーション等の機能がサービスとして提供されるもの。

具体的には、政府外においては、安否確認、ストレスチェック等の業務系のサービス、メールサービスやファイル保管等のコミュニケーション系のサービス等がある。

政府内においては、府省共通システムによって提供される諸機能や、政府共通プラットフォーム上で提供されるコミュニケーション系のサービス・業務系のサービスが該当する。

クラウドサービスには、このように提供される階層の範囲によるサービス種類があることは覚えておきましょう。

ABOUT ME
早稲田大学政治経済学部卒業。 みずほ情報総研株式会社(現みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)、政府系金融機関SI企業勤務を経て、2020年アイトクコンサルティング設立。 ITを活用した業務改善、セキュリティ対策、クラウドサービス導入など中堅・中小企業を中心にIT・経営支援に従事。
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