ネットで操作される群集心理
今から半世紀前、アメリカの法学者キャス・サンスティーンは「インターネットは民主主義が敵か」という著書で、ネット上の群集心理が極端な方向に向かう「集団極性化」について警鐘を鳴らしました。
「集団極性化」とは、集団で議論した場合に意見が極端な方向に先鋭化する現象です。
本来多くの人が議論に参加すれば、異なる意見同士がぶつかり合うことで、極端な方向にぶれることはないだろうと思われますが、ネット上ではそうならない現象がおきます。
今回の参院選でもSNS上で外国人規制に関するワードをよく目にします。
これが極端な方向に向かうと、アメリカのように外国人排斥のような動きにならないか危惧されます。
コンビニで買い物をすれば、外国人店員が応対するのが今では普通です。
日本は外国人労働者がいなければ、経済が回らない国になりつつあります。
SNSで「集団極性化」を煽り、選挙民を先導するような候補者を見極める眼力が選挙民に求められています。
キャス・サンスティーンはこの他にもネット特有の以下のような現象を紹介しています。
自分と同質な意見に囲まれるエコーチェンバー
エコーチェンバーとは、SNSを利用することにより、自分と似た興味関心をもつユーザーをフォローする結果、意見をSNSで発信すると自分と似た意見が返ってくるという状況を、閉じた小部屋で音が反響する物理現象に例えたものです。
似たような人たちが集まり、どんどん意見が過激になってくると、上述した「集団極性化」に傾いていきます。
見たい情報だけを見せられるフィルターバブル
フィルターバブルとは、アルゴリズムがネット利用者個人の検索履歴やクリック履歴を分析し学習することで、個々のユーザーにとっては望むと望まざるとにかかわらず見たい情報が優先的に表示され、利用者の観点に合わない情報からは隔離され、自身の考え方や価値観の「バブル(泡)」の中に孤立するという情報環境を指します。
これは経験上よく理解できると思います。
自分が興味を持って何かを検索すると、次々に似た情報がSNS上には表示されてきますよね。
いつの間にか思考停止状態になって、目の前の情報にどっぷり浸かってしまいます。
情報収集・情報発信の観点からSNSを活用することは、奨励すべきことと思います。
SNSには本投稿のような心理作用もあることも知っておき、参院選では冷静な投票を心掛けたいです。
参考サイト「総務省 令和元年度情報通信白書」