AIによる人員配置や採用の試みが実用化されつつあります。
ところがAIが人事を判断することにアレルギーが起きていることも事実です。
AIによる人事判断の問題点は概ね、以下のような事項になります。
- AIの出力した結果は、どのようなプロセスで導かれたのかブラックボックスである。
- マイナーな立場の人が不利になりやすい。
- 従業員が利用を同意していないデータが使用されるという不安がある。
- 最終的には人のチェックが入らないと不安である。
”人間様が機械に評価される”なんてという気持ちはよくわかりますが、人間の評価も果たしてどの程度信頼できるものなのでしょうか?
まず、プロセスがブラックボックスという点ですが、ブラックボックスでない人事など存在するのでしょうか?
私はサラリーマン時代に上司から”人事は神聖なもの”という言葉を聞いたことがあります。
つまりサラリーマンの社会では、人事について口に出すことは憚られるのです。
どのような人事もそのプロセスがオープンになることはなく、結果だけが知らされます。
つまりブラックボックスなのです。
もちろん最近では人事面談・フィードバック面接などもあり、立派な人事評価制度も存在しますが、結局そのプロセスは人事評価者に依ることが多いのです。
AIの要件や仕様、どのようなデータを学習データとして使用したのかを明らかにすることで、むしろAIの方がずっとオープンではないかという気がします。
次にマイナーな立場の人が不利になりやすいという点は、AIと言うよりデータ分析の点で確かに弱点として当てはまります。
この点は、データの蓄積を進めることである程度は解決ができると思います。
3点目の従業員が利用を同意していないデータが使用されるという不安は、個人情報が厳しく管理されるようになった昨今では当然のことと思います。
本人の同意しないデータ利用は進めるべきではなく、この点は改正個人保護法でも本人の意思によるデータ利用の停止が考慮されるようです。
上述のようにAIにどのようなデータが使用されるか、その目的や説明責任について、従業員と合意しておく必要があります。
最後に結局、人の判断が必要ではないかという意見も理解できます。
人間関与原則はやはり重要です。
ですが、AIのよい点は取り入れつつ、人の恣意的な判断はうまく排除するようなバランスの取れたAI活用方法がこれからは求められるでしょうし、今はその過渡期の段階と言えるでしょう。