過去2回の記事では、統計的仮説検定の考え方とExcelで行うt検定について紹介してきました。
今回はこれまでの情報をベースに実際に広告に掲載されていた統計データを見ていきたいと思います。
下記は大正製薬の「おなかの脂肪が気になる方のタブレット(粒タイプ)」という商品に関して、飲み続けてからの12週間のおなかの脂肪の減少量をグラフ化したもので、BMIが25以上30未満の成人男女100名を2群に分けて、調査しています。
大正製薬の広告より
この2群は以下のように分かれています。
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)含有粉末茶飲料群 | ブラセボ群 ※「ブラセボ」とは効き目の入っていない偽薬の事 |
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)配合の飲料を1日1袋、摂取したグループ | 葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)非配合の飲料を1日1袋、摂取したグループ |
この2群に対し、12週間連続して摂取させて0週、8週、12週後の腹部脂肪面積を測定します。
結果は、グラフの赤い線の方が、含有粉末茶飲料群(配合)、グレーの線の方が、ブラセボ群(非配合)になります。
見た目では、赤い線の方が8週後からグっと下に下がり、効果があるように見えます。
ここで確認すべきは、グラフ下にある↓ここの部分です。
ここでPとあるのは、前回説明したP値のことです。
P値とは2群にもし差がないと仮定した場合にこのような差が生じる確率のことです。
これが8週目では1%未満、12週目では0.1%未満ということになります。
有意水準を1%とすると、2群に差がないという帰無仮説は棄却され、(P値を見る限り)葛の花由来イソフラボンは効果のある飲料である、という判断をするということになります。
もちろん、この判断を導くためには、2群の成人男女100名はランダムに分けられていること、服用する飲料以外の条件(例えば12週間中の食事・運動など)は全く2群で同一であることが必要です。
以上3回に分けて2つのグループの比較を統計的に検証する方法を紹介してきました。
業務改善の効果を調べるためにぜひお役立てください。