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発注者の不当な値引き行為や費用負担は下請法で対抗しましょう!

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スーパーマーケットを展開する株式会社コモディイイダが、PB商品製造委託を発注した下請け14社に対し、支払代金から不当な減額をしたとして、公正取引委員会より再発防止勧告を受けました。

同社は既に全額を下請け業者に支払い、公正取引委員会の勧告を真摯に受け止める旨のコメントを発表しています。

本件は、株式会社コモディイイダがPOP作成費用等の販売促進費用や値札作成費用を支払代金から差し引いたことによるものです。

これは下請法の「不当な経済上の利益の提供要請」に該当します。
自社のために,下請事業者に現金やサービス,その他の経済上の利益を提供させ,下請事業者の利益を不当に害することです。
※経済上の利益とは,協賛金や従業員の派遣などをいいます。

そもそも下請法とはどのようなものでしょうか?

正式名は下請代金支払遅延等防止法といい、発注事業者による下請事業者に対する優越的地
位の濫用行為を取り締まるために制定された法律です。

下請法が適用されるかどうかは、発注事業者と下請事業者の資本金と委託取引の内容になります。
以下のようなケースが下請法の対象になります。

発注事業者の資本金 下請事業者の資本金 委託取引の内容
資本金が3億1円以上 資本金3億円以下の会社や個人事業者 ①物品の製造
②物品の修理
③プログラムの作成
④運送・物品の倉庫保管・情報処理
資本金が1千万1円以上~3億円以下 資本金1千万円以下の会社や個人事業者
資本金が5千万1円以上 資本金5千万円以下の会社や個人事業者 ①放送番組や広告の制作,商品デザイン,製品の取扱説明書,設計図面などの作成など,プログラム以外の情報成果物の作成

②ビルや機械のメンテナンス,コールセンター業務などの顧客サービス代行など,運送・物品の倉庫保管・情報処理以外の役務の提供

資本金が1千万1円以上~5千万円以下 資本金1千万円以下の会社や個人事業者

 

このようなケースに該当する場合、発注事業者は下請代金を減額するなどの買いたたきや、支払を遅延したり、納品物の受領拒否・不当返品、物品購入・役務の強制、割引き困難な長期手形の交付などをすることは禁止されています。

大企業からの受注を受けることも多い中小企業の立場としては、発注内容を書面で確認しておくこと、支払期日を明確に定めておくことが必要です。

とはいえ、大口顧客に対して対等な立場で交渉することが難しい場合もあります。
そのような場合には、自社だけで解決しようとせず、全国各地にある公正取引委員会の事務所や中小企業庁の経済産業局、商工会議所にまずは相談することをお薦めします。

「下請かけこみ寺」という制度をご存知でしょうか?
これは中小企業庁の委託事業として、全国の産業振興センター・振興公社・産業支援機構にいる相談員が中小企業の取引に関する悩みに応じる制度です。

”下請かけこみ寺”で検索すると多くの情報が見つかると思います。

ABOUT ME
早稲田大学政治経済学部卒業。 みずほ情報総研株式会社(現みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)、政府系金融機関SI企業勤務を経て、2020年アイトクコンサルティング設立。 ITを活用した業務改善、セキュリティ対策、クラウドサービス導入など中堅・中小企業を中心にIT・経営支援に従事。