生活用品のユニ・チャームは、2019年から”OODAループ”という意思決定モデルを採用し、稼ぐ力を向上させています。
”OODAループ”とは何でしょうか?
”OODAループ”について話す前に代表的な意思決定モデル”PDCA”を見てみましょう。
PDCAサイクル
PDCAは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善行動)というサイクルを回すことで、進みます。
これに対してOODAループは、Observe(観る)→Orient(わかる)→Deside(決める)→Act(動く)という動きになります。
OODAループ
PDCAの場合は、まず計画が最初にきますが、OODAはマーケットをObserve(観る・観察)するところからスタートします。
計画をしっかりと立案して検証することも大事ですが、計画を作成するために時間がかかり、また計画管理にこだわることで、その後の行動を制限することもあります。
OODAは、「観る・観察する」ことで世の中で想定外のことが起きていないか、変化がないかを素早くキャッチすることが重要です。
次のOrient(わかる)では状況判断を行います。
状況判断は判断する人の世界観がポイントです。世界観が異なることで、同じ想定外の出来事に対しても状況判断が異なります。
OODAループはスピードが重要です。
完璧な状況判断を求めず、失敗したら、その結果をObserveしてOrient(わかる)をやり直します。
OODAループは朝鮮戦争に参戦していたジョン・ボイドというアメリカ空軍のパイロットが元々考案したものです。
当時のソ連製の戦闘機の性能はアメリカ空軍も上回るものでした。
ジョン・ボイドは瞬時の判断で形勢を逆転するOODAループを戦闘の中で考案したのです。
OODAループがスピードを重視するのも尤もです。
ユニ・チャームは毎週の定例会議で想定外の出来事を報告・共有し、状況判断を行います。
刻々と変化するマーケットの状況に柔軟に対応する体制に変化したわけです。
ユニ・チャームの2020年1月~12月のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は前期比19%増となり、これは生活用品の巨人キンバリーや花王を凌ぎます。
OODAループを考案したジョン・ボイドは宮本武蔵の「五輪書」を参考にしたと伝えられています。
OODAループのOrient(わかる)とは世界観で状況判断をすることですが、「五輪書」の地の巻には、
第一に、邪に陥らないと信じること
第二に、道の鍛錬をすること
第三に、広く諸芸にふれること
第四に、諸学問に通じること
第五に、物事の利害損失を認識すること
第六に、物・人を見る目、鑑識眼を養うこと
第七に、目に見えない部分を悟って知ること
第八に、些細なことにも注意を払うこと
第九に、役に立たないことはやらないこと
とあります。
きっとジョン・ボイドも「五輪書」で世界観を磨いたことでしょう。