(1) サンリオピューロランドの概要
サンリオピューロランドとは、「ハローキティ」・「マイメロディ」などのサンリオのキャラクターに出会えるテーマパークです。
1990年に東京都多摩市で開園しました。
サンリオのキャラクターは海外でも有名ですが、入場者は伸び悩み、一時はサンリオのお荷物とまで言われながら、2014年以降はV字回復を果たします。
ちなみに”ピューロ”は”ピエロ”と”ピュア(純粋)”を組み合わせた造語です。
(2)ターゲット顧客の変更
サンリオピューロランドが開園以来、入場者数を減らし停滞した原因として、同ランドが子供向け・少女向けの施設と一般的に見做されたことが一因と思われます。
そこで同ランドはターゲット層の転換を図ります。大人の女性をターゲットに据えたのです。
同ランドで開催されるミュージカルアトラクションは、キャラクターを前面に打ち出した子供・ファミリー向けのものでしたが、イケメン俳優をキャストに採用し、ストーリーもアニメを原作とするものに変更します。
これによりイケメン好きの大人の女性やアニメ好きの女性のリピート来場を狙います。実際リピート来場客は増加しているようです。またインバウンド向けに歌舞伎の要素を取り入れたアトラクションも開催しています。
(3)キャラクター志向別の品揃え
売店で販売するグッズも見直しを行います。
従前は全キャラクターの集合デザインのお土産を販売していましたが、キャラクターによってファン層が分かれる(クロミは20代、ハローキティは40代など)ことから、キャラクター別にグッズを分け、販売商品も日常的に使用できるものを中心とします。
せっかくお金を遣うなら、ミラーやポーチなど普段使える物の方がよいという大人の女性心理を突いたものです。
下記の表はキャラクター別のファン層・嗜好・グッズをまとめたものです。これまでにもPOSなどで顧客分析・販売分析などデータ分析をしていたと思いますが、ファン層の特徴などは感性に基づく定性的な特徴も多いです。
“フリフリ系”、“フワフワ系”などです。
定量的なデータ分析だけではなく、スタッフの観察眼や経験が多分に活用されたのでしょう。マイメロディ×イケメン×フリフリグッズの掛け算などクロス購買も研究しています。
キャラクター | ファン層の特徴 | 嗜好 | グッズ |
マイメロディ | ピンク&フリフリ系の服が好きな女子、巻き髪&おしゃれ女子 | ピンク主体の可愛い系グッズ | 髪の毛を巻いたりするヘアアイロンケース |
クロミ | クール系女子、荷物が多い女子 | 黒や紫のグッズ | クロミシリーズトートバッグ |
シナモロール | 白いフワフワ系女子 | 癒し系グッズ | 癒されたい女性向けシナモロールおしゃべりドール |
(4) SNSを活用した情報拡散
レストランでは、“元気ポチャッコのチキンナゲットカレー”、“おやすみシナモンのドリーミーカレー”など、インスタ映えしそうなメニューを取り揃えています。
SNSの投稿で更に来場客が増える戦略です。
サンリオピューロランドHPより(URL; https://www.puroland.jp/food/)
(5) チームワークの醸成
同ランドの小巻社長は、「スタッフが仲良くしていないとお客様も楽しめない」という信念を持ち、スタッフ教育にも注力しています。
朝礼ではチームワーク醸成のためのワークショップを用意しています。
例えばフラフープを全員の指で支え、これを床まで降ろすゲームがあります。
全員の呼吸が合わなければ、できない作業です。
最後に同ランドはコロナウィルス拡散防止のため、2/22~3/12までの期間、臨時休館することを発表しました。すでに販売済のチケットは全額払い戻しに応じるそうです。現時点でTDRやUSJが様子見の中、来場者やスタッフの健康を配慮した英断に敬意を表したいと思います。
※ TDRとUSJはその後、2/29~3/15までの休館を公表しました。
【参考】TBC「がっちりマンデー!!」