大企業に克つ販売促進

取り扱い商品・製品を選別してみよう! 断捨離のすすめ

中小企業診断士として多くの事業者の方とお話をしてきましたが、9割以上の相談内容は売上不振に関するものです。

売上不振について相談を受けて、すぐに「宣伝広告をもっとやっていきましょう」、「営業員を増やして営業に力を入れていきましょう」などとアドバイスするようでは、ヤブ医者と同じです。

スタートアップ企業ならともかく、もう何年・何十年と事業をしているのであれば、必ず世の中に役立つ製品・商品・サービスを供給してきたはずです。

まずは自社で取り扱っている製品・商品・サービスを見直してみましょう。

では、どのように見直すか?

商品1個あたり、製品1個製造するための単位時間あたりなどで売上高・利益額ごとにランキング表を作成してみましょう。

ランキング表ができたら、売上高・利益額をランキング1位から累積で足し上げてみましょう。

下表は商品A~Jの年間利益額を上から順に並べ、ランキング上位からの累積利益額を求め、その累積利益額を%表示したものです。

この表を見ると、商品A~Eで全体の90%を占め、下位商品F~Jは全部合計しても全体の10%程度であることがわかります。

利益額の少ない下位商品は思い切って断捨離しましょう。

下位商品に投入していたリソースは上位商品に集中投下すべきです。

こういった手法はABC分析などと言われます。

もうひとつ例を出します。

下のグラフは店舗A~Jの利益額を大きい順に左から並べ、利益額の一番大きいA店から順に累積利益額を示したグラフです。

A店からE店までは黒字店舗であるため、累積利益額が徐々に大きくなり、E店まで累積した段階で利益額は最高になります。

ところが、F店からJ店までは赤字店舗であるため、累積利益額は徐々に減少し、J店まで合計した段階で利益額がなくなります。

この場合は、F店からJ店までを断捨離すべきです。

もちろん実際の現場ではいろいろな思惑もあり、すぐに断捨離できないケースもありますが、基本的には断捨離を進めましょう。

西武池袋店では、米ファンドフォートレスが主導し、この方法で取り扱い商品を見直しています。

西武池袋店で約750あったブランドを売上、利益、坪効率などで順位を付けたところ、化粧品・高級ブランド・食品がほぼすべての利益を稼いでおり、これら以外はトントンか赤字だったそうです。(日本経済新聞令和6年9月5日朝刊より)

新生西武はこの3分野に絞った売り場になり、営業黒字を目指します。

断捨離で蘇った中小企業は多くの前例がありますので、ぜひ試してみてください。

ABOUT ME
早稲田大学政治経済学部卒業。 みずほ情報総研株式会社(現みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)、政府系金融機関SI企業勤務を経て、2020年アイトクコンサルティング設立。 ITを活用した業務改善、セキュリティ対策、クラウドサービス導入など中堅・中小企業を中心にIT・経営支援に従事。