ウォルマート創業者のサム・ウォルトンの著書「私のウォルマート商法」は経営者・商売人に多くの極意を伝授してくれています。
「私のウォルマート商法」執筆時にサム・ウォルトンは癌を患っており、周囲の人からウォルマートの歴史を残して欲しいと言われて、この本を残しました。
興味のある方は、「私のウォルマート商法」全編お読みいただくとして、ここでは私が特に印象に残った箇所をお伝えしたいと思います。
今でこそウォルマートは世界最大の小売業ですが、元は田舎町のディスカウントストアからスタートしました。中堅企業・中小企業の商売、経営にも通ずる内容と思います。
効率第一主義を戒めて
小売業は経営に力を入れるやり方と商品に力を入れるやり方があってね。経営優先主義では、経費を抑えて効率を高めることを重視するが、本当に商品優先の会社はつねに経営の改革にも取り組んでいるものだ。だが、経営が優先されると業績が横ばいになり、やがて下降していく。
競争相手の視察
あらゆる競争相手を研究しろ。欠点を探すな、長所を探せ。一つでも何かを得たら、視察対象店に入る前よりそれだけ進歩したのだ。誰でも一つはよいことをしているものだ。
従業員への配慮
最近、私はある業界誌で、1976年のディスカウントストア上位100社のうち、76社がすでに消えているという記事を読んだ。その多くはわが社より資金もあり、注目もされ、大商勢圏で多くのチャンスにも恵まれていた人々である。彼らは一時期スターであった。私は彼らが消えた理由と、わが社が生き残った理由を考えてみた。そして、彼らがお客を大切にせず、店に気を配らず、応対マナーを心得た指導員を置かなかったからだという結論に達した。これはまた、彼らが自分の店の従業員を本当に気にかけていなかった証拠でもある。
組織のスリム化
会社が急速に成長すると、重複する業務部門や、すでに不要になった業務部門が出てくる。組織では上から下まで、自分の仕事や部下の仕事は削減されたくないと考えるのが人情だ。だが、会社全体の健全な発展のために、この問題を絶えず考えることがトップ経営陣の責任である。
組織のスリム化について、会社の組織図が複雑であるほど立派な会社だと勘違いしている会社がたまにあります。兼任までさせて、多くの部・課を作りあげます。組織図を見直してみるいい機会と思います。
参考文献 「私のウォルマート商法」サム・ウォルトン著 講談社発行