統計を読み解く力やデータ分析に基づく施策立案能力は、ビジネス上の必須スキルとなりつつあります。
日本政府も平成30年、政策効果の測定にデータ(エビデンス)を求めるEBPM(Evidence-Based Policy Making(証拠に基づく政策立案))取組方針を公表しました。
データを判断根拠とする統計的分析手法は、国家レベルの政策だけではなく、地方公共団体や民間企業でも求められています。
もちろん中堅・中小企業の経営や販売促進上の有効なツールとして活用ができます。
オープンデータは各省庁・都道府県・市区町村でも提供されていますが、その中でも機能・保有データ面で優れるRESASとe-Statを紹介します。
※本稿は2020年に東京都中小企業診断士協会城西支部及び杉並区中小企業診断士会のスキルアップ講座にて私が講義した内容をもとに再編集しています。
(1) RESAS
RESASトップページ (URL; https://resas.go.jp/)
RESAS(Regional Economy (and) Society Analyzing System)とは、「まち・ひと・しごと創生本部」が提供する産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータを集約して可視化する地域経済分析システムです。
RESASは以下8個のマップから構成されています。
人口マップ | 人口構成、出生・死亡などの人口の自然、転入・転出などの社会増減、将来人口推計などを扱う。 |
地域経済循環マップ | 地域のお金の流れを生産・分配・支出の3面から捉えることができる。地域産業の影響度や感応度の分析が可能である。 |
産業構造マップ | 地域における産業分類ごとに企業数、事業所数、従業員数、付加価値額等を分析、全国における立ち位置(ランキング)が分かる。 |
企業活動マップ | 地域における企業の財務分析・黒字赤字比率など企業情報、海外取引、研究開発などを扱う。 |
観光マップ | どの地域にどれだけの人が集まるのかといったメッシュ分析、どの国からの観光客がどれくらいいるか、検索された観光地はどこかという情報が入手できる。 |
まちづくりマップ | 地域の平日・休日、月別、時間帯別の滞在人口が分析できる。また特定場所における事業所の情報が入手できる。 |
雇用/医療・福祉マップ | 医療従事者の賃金、医療受給、介護需給などを扱う。 |
地方財政マップ | 自治体の財政状況、地方税、固定資産税などを扱う。 |
各マップは更に細かいメニューに分かれています。
操作は簡単ですが、ややレスポンスに難があるメニューも存在します。
データはExcel形式でダウンロードも可能です。
市区町村を指定してサマリーデータを一括してダウンロードすることもできます。
(2) e-Stat
e-Statトップページ (URL; https://resas.go.jp/)
e-Statとは、各府省が公表する統計データを一つにまとめ、統計データを検索したり、地図上に表示できるなどの便利な機能を備えた政府統計ポータルサイトです。
データは総務省、内閣官房など組織別に検索することも、国土・気象、労働・賃金などジャンル別に検索することもできます。
各データはExcel、PDFなど複数の媒体でダウンロードすることができます。またデータベース機能により、表形式データの見方をアレンジすることもできます。
e-Statは、この他に地図データの取り扱い、特定地域のレーダーチャート・ジャンル別データの収集が可能です。
RESASはビジュアル性に長けていますが、データが必ずしも最新ではないので、RESASでまず長期的なトレンドや全体像をつかみ、e-Statで詳細なデータ分析をするといった使用法が推奨されます。
今後は各々のサイトの使用方法・操作方法についても紹介して、中堅・中小企業の経営や販売促進に活かせる情報を提供していきます。