中小企業経営者の方とお話をすると、「AIの良さは良くわかるのですが、セミナーなどに出ても大企業向けの話ばかりで、中小企業がどのようにAIを導入して活用していくべきかが、よくわからない」という言葉をよく耳にします。
確かにIT業界でこれまでの使用されてきたバズワード「グリーンIT」、「フィンテック」、「ビッグデータ」など大企業中心の技術かと思います。
事実ITベンダーにAIの構築を依頼すれば、すぐに数百万円という金額単位のお話になるかと思います。
しかしながら、AIに関しては、誰でも利用できるオープンライブラリやクラウドサービスが今ほど充実しているときはなく、中小企業でもAIの”仕組み”に触れるチャンスは気持ちさえあれば、難しいことではありません。
例えば、私は「scikit-learn」や「Jupyter Notebook」というツールを利用していますが、無料で利用することができますし、わからないことはネットで検索すれば、いくらでも情報が得られます。また多くの参考書籍やYoutube動画などで学ぶことができます。
つまり、AIの導入については大企業や中小企業の資金力や人材の差が縮小しつつあるということです。
AIだけでなく、クラウドサービスも多様で安価なものがたくさん出ていますので、中小企業としては、かつてないほどIT戦略を取りやすい時代です。
私はITベンダー・SIerに長く身を置き、コロナ下の今年の5月に独立して、ITを中心としたコンサルタント業務を開業しました。
中小企業経営者に寄り添って、IT力で大企業に立ち向かってもらいたいとの思いがあったからです。
中小企業経営者の皆様にアドバイスすることは、「目的を定量的に明確に設定する」ということです。
例えば、「不良率を3%下げたい」、「売れ残りの食材廃棄量を今の30%にしたい」といった目標です。
このような目標を持たずになんとなく利益率を上げたい、業務改善したいといった漠然とした思いだけでは、ITを導入してもうまくいきません。
ITベンダーは、あれもこれもと提案し、どんどんコストだけが増えていきます。
中小企業には大企業と比較して、意思決定が速い・部門の垣根が低いという優位性があります。
中小企業も理論武装をしっかりした上で、ITベンダーを使いこなすという気概を持って、取り掛かるべきです。
決してお任せではダメです!