中小企業と大企業との間で協業を機会に知的財産(以下、「知財」)や技術に関するトラブルはよくあります。
例えば、協業後に大企業が中小企業の持っていたノウハウや技術を利用して、自社のサービスとして売り出してしまうケースなどがこれに該当します。
公正取引委員会の調査では、スタートアップ企業1447社のうち、15%の企業が、大企業との取引で納得できない行為を受けたと回答し、そのうち75%が渋々と行為を受け入れたと回答しています。
中小企業の場合は、大企業と比較して知財管理が劣後しているケースが多いことが、その原因と考えられます。
ですが、中小企業にとっても大企業との協業はメリットがありますので、契約書を締結し、自社の権利を守りながら、大企業と連携することが必要になります。
オープンイノベーションの推進を図りながら、中小企業の権利も保護するため、経済産業省は、「研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0」を発表しました。
経済産業省はこのモデル契約書の特徴として以下の3点を挙げています。
- 共同研究開発の連携プロセスの時系列に沿って必要となる、秘密保持契約、PoC(技術検証)契約、共同研究開発契約、ライセンス契約に関するモデル契約書を提示しています。
- 仮想の取引事例を設定して、契約書の取り決め内容を具体化することで、交渉の勘所を学ぶことができます。
- 契約書の文言の意味を逐条解説で補足することで、当該記載を欠いた場合の法的リスクなど、契約に潜むビジネスリスクへの理解を深めることができます。
まずはこのようなモデル契約書を活用することもひとつの方法です。
当サイトでも情報資産の棚卸に関する動画を紹介しています。
この情報資産の中には、社外に開放できない情報資産が多数含まれることと思います。
大企業との協業前に開示してよい情報とそうでない情報を整理します。
出資や事業提携を期待して、開示できない情報まで、大企業に提供してしまわないように、知財管理のグリップを利かせて、オープンイノベーションに取り組みましょう。