商品・サービスを提供する立場からすると、自社の強みを聞かれて、どうしても商品の素晴らしい機能や品質の高さ、自社の持つ技術力の高さを強調しがちです。
ですが、お客様にとっては貴社の商品・サービスがどれほど素晴らしくても、それを購入することによって自分の生活が1ミリの変化もなければ、敢えて購入する必要はないでしょう。
例えば、貴社がオンライントレードサービスを展開する企業だとして、それを利用するユーザーの背景は様々であると思います。
ある人は子育てをしながら、ある人は介護をしながら、時間の隙間に生活費を補充できる収入が欲しいと考えているでしょうし、ある人はリタイア後の老後の資金を増やしたいと考えているでしょうし、ある人は旅行などレジャー資金を稼ぎたいと思っているでしょう。
会社での対人関係に疲れて、部屋にこもって生活費を稼ぎたいと思っている元サラリーマンやOLもいることと思います。
こういった様々な背景を持つユーザーのペルソナは千差万別です。
こうしたユーザーは資金が稼げれば、オンライントレードである必要はなく、電話で売買できる証券会社でもよく、自宅でできる内職仕事でもいいわけです。
24時間最新マーケット情報を配信、チャットで相談など、オンライントレードの機能がいかに優れていようとも、それは利用を開始する動機ではなく、あくまで競合他社との比較要素にすぎません。
ですが、オンライントレードをすることにより、正社員として毎日出社しなくても、毎日通勤電車に揺られなくても、会いたくない人に会わなくても、子育てや介護をしながらでも、旅先でインターネットを接続しながらでも収入を得ることができる、と思った瞬間、生活の変化が実感され、オンライントレードに申し込みたいと判断します。
お客様が欲しいのは、商品・サービスではなく、あくまで商品・サービスを購入することによって、どれだけ自分の生活に変化が起こせるか、心の充足が得られるか、そのハードルを越えたときに意思を決定するのです。