先日ある方から焼肉店を開業したいというご相談をいただきました。
私はITコンサルタントですが、中小企業診断士でもありますので、このようなご相談もお受けしています。
その方はアルバイトで飲食店経験があるものの、焼肉店での業務経験はなく、とにかく焼肉店を経営するのが夢だったそうです。
このような時期に焼肉店を経営する夢を実現しようとする思いはぜひ応援してあげたいと思うのですが、とは言えリスキーな起業をさせるわけにもいかず、まずは焼肉店でオペレーション経験を積んでみること、家庭用焼肉セットの宅配サービスや焼肉弁当のテイクアウトなどをしてみるなど、多額の投資をする前にスモールスタート・実験販売をしてみることをご提案してみました。
その方の近隣では、やはり飲食店はふるわないものの、「焼肉店だけは繁盛している、だから大丈夫、和民だって焼肉始めたじゃないですか!」、とやや夢先行なご様子でした。
結局私からは、以下の点をアドバイスしました。
- 出店を考えている場所の立地調査
- 近隣焼肉店経営状況の調査
- 食材仕入れ先との提携の検討
- 資金繰り、事業計画を書いてみること
ですが、焼肉店だけは繁盛している? それ本当なの? という思いが残りました。
確かにネット上では、「飲食業に異変!焼肉店が増加」「焼肉店は絶好調」などの文言が目につきます。
その理由として
- 換気が良い
- 加熱消毒できるから安心
- 焼肉を家でやるのは煙くて大変
- 店からすると調理の手間が省ける
確かに尤もな理由かと思います。
下図は一般社団法人日本フードサービス協会が発表している「2021年度1月度結果 外食産業データ(前年同月比)」の一部です。
これを見ますと、ファミリーレストラン系の平均と比較して、売上高・店舗数・客数は上回っています(客単価は減少)が、それでも中華ほどではなさそうです。
和民のように居酒屋から焼肉店へと業態移行した店舗の影響が大きいのかと思います。
焼肉店の強みである換気設備や、ファミリー層を多く含む顧客層などは是非活かしてほしいと思いますが、焼肉店をやれば一人勝ちで儲かるわけではなく、ネットの情報に惑わされず、地道な情報収集を心掛けたいものです。